ノロウィルス対策にご注意!

 乗客,乗員380人がノロウイルスの感染によるとみられる腹痛や吐き気に見舞われた世界最大のクルーズ客船「フリーダム・オブ・ザ・シーズ」号で,再び約110人がノロウイルスとみられる感染で腹痛などを起こし,米疾病対策センター(CDC)から出航を一時見合わせるよう指示を受けた.AP通信などが伝えた.船は,380人が症状を訴えた航海から3日にマイアミに帰港後,船内を洗浄して出航したが,この航海でも腹痛などを訴える乗客乗員が相次いだ.手すりやドアの取っ手などを11日洗浄し,12日に出航する見通しという.

※朝日新聞web版 2006年12月13日付より

ノロウイルスとは?

 ノロウイルスは感染性胃腸炎の原因となる小型ウイルスの一つで,かつては小型球形ウイルス(Small Round-Structured Virus, SRSV)として知られていたもので,この名前には聞き覚えのある方も多いと思います.比較的最近名称が変わったことと,検出技術の進歩により検出数が増えたことでノロウイルスの名を頻繁に耳にするようになりました.

 ノロウイルスは主にカキなどの二枚貝を摂取することにより経口感染し,1-2日の潜伏期間を経て嘔吐や下痢,腹痛などの症状が現れます.多くの場合1-2日で治癒しますが,脱水症状が起きるなどやや重篤な症状の場合,病院で点滴を受けるなどの治療が必要な場合があります.

二次感染にご注意!

 冒頭記事の例のように,少し間をおいて第二,第三の感染が起こることがあります.これは患者の嘔吐物や糞便などの処置が十分でなかったため,ウイルスが残存してしまったことが原因と考えられます.また,ノロウイルスは35nm前後と小型のため,一般的な掃除機のフィルターは容易に通過してしまいます.乾燥した冬場は特にウイルスが空中を浮遊しやすくなるため,不用意に扱うとかえってウイルスを拡散させることになります.

 厚生労働省ホームページ「ノロウイルス食中毒の予防に関するQ&A」 によると,嘔吐物等を処理する場合は,使い捨ての手袋やマスクを着用し,汚物をペーパータオル等で静かに拭き取ったのち,200ppmの次亜塩素酸ナトリウム溶液で床面を浸し,使用したペーパータオル等は1000ppmの次亜塩素酸ナトリウム溶液を入れたビニール袋で処理をする,という方法が二次感染予防に有効であるとされます.処理後は石鹸を使った十分な手洗いが必要です.

予防策

 予防策としては,これらの食品を十分加熱してから摂取することと,前述のように患者から排泄されたウイルスの取り扱いに十分注意することが挙げられます.また,症状が解消した患者からも48時間程度はウイルスが排出されるため,留意が必要です.